オペラ・声楽店

　モーツアルトのオペラと言っても、よく聴かれるのは「コシ」「ドン・ジョヴァンニ」「フィガロ」「魔笛」までで、他の作品は演奏される機会さえなかなかない。初期のオペラ、例えばベートーヴェンの「英雄」の主題との類似性が指摘される「バスティアンとバスティエンヌ」など、一度は聴いておきたいと思うのが人情だ。

　ライセンスものを中心に、時にはオリジナル録音を組み合わせて、魅力的な商品を破格値で提供し続けているブリリアント・クラシックの特性が、このセットでもしっかりと発揮されている。
　演奏者はさまざまで、演奏年代や演奏様式（古楽器、モダン楽器も混交）もばらばらではあるが、一定水準以上の演奏をそろえて、モーツアルトの代表的ジャンルの一つであるオペラの世界を見渡すことができる。演奏自体も「安かろう悪かろう」ではなく、クイケン一派の演奏を中心に定評のあるものがかなりある。