オペラ・声楽店

しばし、日々の喧騒を忘れさせてくれる。

イタリア・オペラの間奏曲が多いため、

とにかくメロディックである。

しかも、１曲の長さはおおむね３分〜５分。
（最後の曲だけ１１分ぐらいだが）

交響曲では眠ってしまう人でも、

これならば大丈夫なはずだ。

カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲や

タイスの瞑想曲は、曲名を知らなくても

多分どこかで耳にしたことがあるだろう。

優雅だが少しドラマティックな気分に

　全曲を聞いてみた感想は、とても人間味のある温かい血の通ったダフニスという印象を受けました。久しぶりのヒットで、わたしが知る演奏の中で、最も興奮したダフニスです。特に、素晴らしいのは、ハイティンクがボストン響からも彼の音と音楽を引き出している点です。つまり、輪郭を明確に浮かび上がらせながら、旋律のもつニュアンスを表現豊かに歌わせるものの、ラヴェル独特の色調も生きいきと描き、その結果、表現もバレエ音楽というより交響曲といった要素の方が強く、その!劇!!的展開に富んだ表情は、いかにもハイティンクらしい演奏に仕上がっているということです。

　以上のように、このダフニスは、非常に聞きやすく、なおかつ好感がもてる演奏のように思います。特に、鋼のように冷たいダフニスには抵抗がある方、聞き飽きた方には、ぜひともお勧めします。ハイティンクの音楽は、とても新鮮に感じられるはずです。それに、皆さんも、この頃のボストン響のレヴェルの高さには、きっと感動させられることでしょう。